中学生の国語の問題集に、なぜかよく出てくる「しろばんば」。

中登美団地ショッピングセンターにある古書店、「本源郷」さんで、この気になっていた本を夏休みに見つけました。

昔の本で字が小さく、500ページもあった上、夏期講習中という忙しい時期に読み始めたので、遅々として進みませんでしたが、なかなか味わい深い本でした。

「しろばんば」というのは、白いおばあさんのことなんです。子どもたちが夕方になってもまだ遊んでいると、しろばんばが出ると言う。子どもたちを守るための言い伝えですね。

私の子どもの頃は、遅くまで遊んでいると、「子取りのおじさんが来るぞ」と言われて怖れていましたが・・・。

洪作は、事情があって、おぬいばあさんと土蔵に住んでいます。その事情は今風に言うと、おじいさんの不倫になってしまうのですが、それは置いといて。

おぬいばあさんと、こうちゃと呼ばれているその洪作との生活を中心に、親戚や友達、また、実のお母さんとの関わりを通して成長する姿を描いてあります。 大正45年から昭和初期の話なので、交通手段が馬車からバスに変わっていく所や、夏休みの過ごし方や家族の在り方など、今と違う様子が随所にあり興味深い。

洪作のまわりで起きる様々な事柄を通して洪作は徐々に成長していくのですが、洪作は小学生なのに、結構切ない思いを何度となく味わっていくのです。

今風のスピード感ある小説ではないので、ゆっくりと味わい深い物語を読みたい人は是非どうぞ手にとってみてください!

いつまでも心に残る小説です。