恩田陸さん、直木賞を取りましたね。直木賞を取った作品、面白そうです。ピアノのコンテストの話らしいので、余計に興味を惹きます。

今まで、「夜のピクニック」しか読んだことがありませんでしたが、急に恩田陸さんの小説が読みたくなり、「たしか、買ったけれどまだ読んでない本があったよな・・・」と探すと、平積みにしている本から、出てきました。「三月は深き紅の淵を」。

不思議なタイトルです。4章から成る連作で、1章、2章が実に面白い。このタイトルの「三月は・・・」というのは、本の題名で、誰が書いたのか著書もわからなければ、その本が現存するのかもわからないという幻の本に纏わる話です。

ところが、第3章になると、すっかり雰囲気が変わって、どうつながっていくのか分からなくてその内容に翻弄されていると、最後の方で著者が本を書き始めるきっかけだったことが分かります。でも、「この3章は要らないんじゃない?」と、私は個人的に思います。3部作の方が分かりやすい。

第4章では、著者がああでもない、こうでもない、と悩みながら創作を進め、「私は」と第一人称で語られる部分と、「彼女は」と語られる部分と、実際に創作されたお話と、3つの話が同時に進む、村上春樹のような手法で語られますから、ちょっと分かりにくかったり、「この話要る?」と思ったりでちょっとイライラ。 でも、「どういうこと?」とか呟きながら、結構楽しんで読んでしまいます。

この第4章の中で出てくる不思議な学園でのエピソードは怖いけれど興味深く、その劇中著者の創作ストーリーが、続編と言われている「麦の海に沈む果実」という本に書かれているのです。これは、面白そうと期待できます。

最後の部分では、「黒と茶の幻想」も創作するような書き出しも出てくるから、色々と仕掛けてあるなぁ~、と感心したり、ワクワクしたり。「黒と茶の幻想」という本も出てますからね。これも、更なる続編ということかしら?

さてと、次は「麦の海に沈む果実」を読むことにしましょう。