第1部 顕れるイデア編 第2部 遷ろうメタファー編

私は世に言う「ハルキスト」ではないので、新作を発売日に勇んで買ったりしたことはないのですが、今回は珍しく予約をして、話題のこの本を発売日に手に入れることが出来ました。ちょうど入試前で忙しく、でも待ち切れず、寝る前に30分から1時間ほど少しずつ読むという読み方をしました。

「騎士団長殺し」という題名、そして剣の装丁。 第1部 顕れるイデア編 第2部 遷ろうメタファー編 というよくわからない題名。読む前から、何やら感じるワクワク感。プロローグを読むと「顔のない男」がいきなり出てくるから、ミステリー?かと思ったら、見事に違いました。 期待を裏切らない村上作品でした。

プロローグは、ちょっと異質ですが、その後の本題からは、すごく読み易い普通の小説のような構成です。ところが、途中から想像を超える展開が・・・。 いつものように・・・と言っていいのか分かりませんが「現実」と「非現実」が混ざり合って物語が進みます。 実際、目に見えるものだけが真実で信じられるものとは言えないと思うので、ストーリーに入り込めば、違和感なく読んでいけます。また、イデア(観念)の騎士団長といった非現実的なものが出てきたりしますが、ちょっとユーモラスで可愛い。観念的に邪悪なものも出てきたりと、かなり精神性な側面もあり、深い。

多少、昔に戻ったりと時が変わることはありますが、一つのストーリーがずっと続いていくので、少しずつ読んでも混乱なく、読み進められます。村上作品は難しいと言われることもありますが、これは大丈夫ですよ。ただ、艶っぽい場面も結構でてきますから、中学生には勧めにくいですね。もう少し大人になるまで取っておきましょう。

先が気になるため急ぎ足で読んだ場面があったり、また、眠気と戦いながら読んだところもあるので、もう一度、今度は細かいところにも気を配って読んでみたいと思います。村上さんの作品は、クラシック音楽を聞く場面も多く出てくるので、その辺もチェックしてみたい。

読み終わってもう一度、プロローグへ帰ると興味深いですよ。 長いストーリーなので、始まりをすっかり忘れていて、「あっ」そういうことかと、後で気づきました。まだまだ気づくことがあるかもしれませんから、今度はじっくりと読んでみたいと思います。