直木賞だけでなく本屋大賞も受賞したということで、今話題となっていますね。

まず、目次から度肝を抜かれます。予選の曲目と課題曲。そして、出場者の演目がズラ-ッと並び、まるで、コンクールのパンフレットのような始まりです。それを目にしたときの半端ないワクワク感。

ピアノコンクールが舞台となり、それに出場する4人のバックグラウンドとその4人の関わり、また、それぞれが演奏している様子を中心に描かれます。4人の音楽に対する姿勢が非常にピュアに描かれていて、それぞれライバルというよりお互いに刺激を受けて伸びていく辺りが、清々しい。そして、登場人物が実に魅力的です。実在していたらコンサートに是非行きたい、と思えるくらい。

恩田陸さんの文に引き込まれていき、CDではないのに、曲が聞こえてくるような不思議体験ができます。登場してくる曲の中で知らない曲の方が多いのですが、なんだか聞いたような錯覚が起きてくるのです。そして、それぞれの個性溢れるピアノの音色が聞こえてくるのです。また、知らない曲なのですが、プロコフィエフとバルトークのピアノ協奏曲に興味を持ちました。

実際にどんな曲なのか聴きたくなり、ユーチューブで調べると、なんとその4人たちの演奏した曲がセットになって出てくるではありませんか。もうビックリです。

もちろんその4人が演奏しているのではありませんが(当たり前ですが)、その登場人物たちの名前で、演奏した順序通り集められているのです。こんなことができるんだから、最近はすごいわ、と感心してしまいました。ですから、今度は、その曲をかけながら、その描写された場面を読んでみたいと思います。

是非読んでみてください。本当にピアノの音色が聞こえてきますよ。