大学入試改革、それも英語外部試験導入に関して、色々動きがあって、どうなるのか不安ですね。
それに関する本を何冊か読んでいますが、今回紹介するのは、東大準教授の阿部公彦さんの著書です。誰がどういう目的で進めようとしているのかわかりますよ。著者は、「入試の民営化」という表現をされていますが、正にそうですね。実名がバンバン出てくるから、ちょっとビックリ!以前紹介した「英語教育、迫りくる破綻」の中でも、楽天の三木谷さんの名前が何度も出ていましたが、この本では更に詳しくカラクリが分かります。三木谷さんと安河内さん、松本茂さんの名前も何度も出てきますね。そして、著者は「安河内さん、なぜ、突然大変身なのですか?」と、呼びかけていらっしゃいます。どうやら、以前言ってらっしゃったことと、全然違う論理を述べてらっしゃるようです。有識者メンバーに選ばれて、変わっちゃったんですかね?
驚いたのは、「外部試験の導入を検討するための協議会」という会のメンバーに、外部試験を運営する利害関係者が何人も名を連ねているのです。これって、もう結果ありきじゃないの?っていう感じですね。最近こういうの多いですね。もっと、報道されなければ分かりませんよね。私もこの本を読んでビックリしました。水道民営化が決まりましたが、確か、この水道民営化の推進委員会にも、民営化を請け負うヴェオリア社の関係者が入っていたらしいですよ。モリカケ問題でも、利害関係者云々が問題になっていましたね。いいんでしょうか、このままで。
また、そもそも、外部試験を入れると、英語力が上がるんでしょうか? その辺も、検証されてなく、短絡的発想のようです。むしろ、子どもたちの英語力は落ちるそうですよ。まじめにこつこつと地道に勉強をする子供は減り、皆が対策に走るのは間違いありません、と著者。確かに、地道な勉強をせずに、試験の過去問ばかりしたがる生徒は伸びませんものね。この方策を推し進めようとする人たちの目的は他にあるんでしょうね。何しろ、専門家が決めたんじゃなくて、経済界の要望ですから・・・。安河内さんや三木谷さんは、いずれは国立大学の二次試験の英語を撤廃して、ぜんぶ業者試験で置き換えるべきだ、とおっしゃっているそうです。こうなると、教育の放棄で、学習指導要領は形骸化してしまいますね。
この本は、そういった経緯だけでなく、これからの英語学習の提言もされています。
是非読んで現状を知ってください。