この本「にちにちこれこうじつ」と読みます。「毎日がよい日」という意味だそうです。雨の日は雨を聴く。雪の日は雪を見る。夏には暑さを、冬には身の切れるような寒さを味わう。どんな日もその日を思う存分味わう。そういう生き方の教えなのです。
この本は、映画化されていて、樹木希林さんがお茶の武田先生役、主人公の森下さん役が黒木華さん、そして一緒にお茶を習ういとこが多部未華子さんという配役の映画で、樹木希林さんが亡くなられた時、テレビの映像でよく紹介されていたのでご存知の方も多いのではないかと思います。
お茶に関する話だと思っていたら、確かにお茶を習う場面が多く出てくるけれど、内容的にはもっと深く、ほのぼのとした文を通して、生きることを考える心に残る作品です。本を読んでから映画を見るのがおススメです。映画だけでは、深い意味を持っている場面でも、サラッと見過ごしてしまうところも出てくるかも。
「人と比べないで、そのままでいいんだよ。」というメッセージや、「同じことをずっとすることの幸せ」に気付かせてもらったり、競争ばかりの昨今だからこそ、余計に何が大事かということを考えさせられます。
知らないお茶の世界を覗き見した面白さや、お稽古の時にその日に合わせて掛けてある掛け軸についての話、カラーの写真で紹介してある和菓子も魅力。綺麗で美味しそうなんですよ。武田先生は思いやりのある魅力的な先生で、季節や日本の文化と共に丁寧に生きる、そういう生き方にも憧れを感じます。といっても、お茶は習ったことはないし、これからも習おうとは思わないんですけどね・・・。
味わいながらくり返し読んでみたい、そんな本です。
写真右にあるのは、うちわ型のキュンタしおりです。新潮社夏のブックフェスでいただきました。